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決算短信発表スピード日本3位の企業に聞く、早期決算の極意と企業成長戦略

皆様、こんにちは。
公認会計士税理士Bridgeグループの宮崎です。
今回は、決算が早いと有名なモバイルファクトリーさんに弊社伊東と一緒にインタビューに行ってきました。

株式を公開している会社、いわゆる上場会社は、四半期毎に財務状況等を開示する必要があります。
現在、日本では約4,000社弱の会社が上場していますが、45日内開示というルールの中で、提出日が早い会社と遅い会社があります。

提出日のみで言い切ることはできませんが、一般的には提出日が早い会社は管理体制が整っており、企業価値が高く評価されることが多いです。

そんな中、今回は、日本の12月期決算のなかで3番目に決算短信発表が早いモバイルファクトリ―さんに早期決算の極意を聞きに来ました。
上場年数が浅い会社にも関わらず、、、すごいです。。。


本題に行く前に、モバイルファクトリーさんの会社概要について説明させて頂きますが、まずは、今回のインタビューに応じてくださる方々をご紹介させて頂きます。

左から深井氏、永久保氏、宮井氏、宮崎

宮崎: 深井さんです。

管理担当取締役 深井未来生氏

深井: 大手コンピュータ会社へ営業として就職し、5年程度勤務、2社目としてモバイル系ベンチャーへ転職し、半分営業・そのあと管理系の仕事に異動しました。当社へは9年前に経営企画室長として入社し、現在は、管理部門を管轄する取締役として業務に従事しています。

宮崎: 宮井さんです。

事業担当取締役 宮井秀卓氏

宮井: 調査会社に勤務後、2006年にモバイルファクトリーにIPO担当者として入社しました。入社後経営企画などを5年ほど経験を経て、事業を作る側の仕事にも従事しました。現在は、事業担当の取締役として業務に従事しています。

宮崎: 永久保さんです。

計数管理部マネジャー 永久保英之氏

永久保: 前職では住宅関係で営業から始まり社長室、営業事務を経て経理へ配属されました。経理を経験しているうちにもっと経理を追求したいと考え、2009年に当社へ入社し現在に至ります。

宮崎: 皆様、宜しくお願い致します。

宮崎: それでは、代表して永久保さんから貴社の会社概要を教えて頂けますか?

永久保: 事業内容はモバイルサービスをメインとして、ソーシャルアプリ事業:「ステーションメモリーズ!」(略称:駅メモ!)」と「駅奪取」「駅奪取Plus」(駅奪取シリーズ)をはじめとする位置ゲームの運営と、モバイルコンテンツ事業:着メロ・占いなどの月額系コンテンツを主に展開があり、現状はソーシャルアプリ事業に注力しています。
事業規模は直近2016年12月期で売上20億円を突破しており、経営メンバーは社長の宮嶌、事業担当取締役の宮井、管理担当取締役の深井、社外取締役が1名、社外監査役が3名の陣容となっています。

宮崎: 経営メンバーにご質問ですが、決算が早いというのは、企業成長に繋がっているのでしょうか?貴社内において経営管理部門が担う役割をどのように考えていらっしゃるのでしょうか?

深井: 決算が早いことで注目されやすいという側面があります。当社はまだ知名度もそれほどないため、決算日後4週目など、ピークで開示をしてもほかの会社がプレスとして取り上げられてしまいます。そこで、それよりも早く提供することで当社の記事が出やすくなり、会社が取り上げられることによって信用の増加にもつながっています。

宮崎: 株価への影響はありますか?

深井: 決算の内容による部分はありますが、遅いよりは早いほうが良いと思います。

宮井 ほかにも意思決定に役立つという部分があります。決算だけでなく月次ベースでも早い段階で締めが行われており、確定した数値をベースにしていくことで次の意思決定にもより有用な情報が得られています。

深井 情報をなるべく早く提供することで投資家の意思決定にも役立ててほしいと思います。

宮井: もう一つは会社の考え方として如何に業務を効率的に行うかという部分です。最近では生産性と表現されるところかもしれませんが、決算が早いことは次の業務に充てる時間が増えることになり、会社全体でそういった意識のもとに取り組んでいるためその一つの表れが決算の早期開示だと考えています。

宮崎: 経営メンバーの熱い気持ちが聞けたので、そろそろ本題に移っていきたいと思います。

宮崎: 現在の決算体制について教えてください。

永久保: 計数管理部が決算全般をメインに担当しており、人数は5名(男性3名、女性2名)部門長1名、経理担当2名、財務・開示で1名、IR担当1名の構成です。少人数なので、それぞれが個別の業務に専任というよりは内部統制の面に注意しつつも、幅広く分担して助け合っています。

早期決算の極意

ビジネスモデルの優位性

宮崎: ずばり、早期決算の極意もしくは工夫していることはなんでしょう?

永久保: 前提として、現状のモバイルを使ったビジネスモデルは情報の早期収集がし易い傾向にあります。携帯のキャリアやプラットフォーム・自社管理画面などでのデータ確認が可能なためです。

宮崎: そうなると売上よりも経費の部分がメインということですね。

永久保: 経費に関しては月中から見込を確認して、大きくぶれないように追っています。

宮崎: 経費の集計で困っているものはありますか?

永久保: 把握していないものが出てくると困りますが、それはコミュニケーション不足から生じるものでもあるため、各部門としっかりとコミュニケーションをとることで経費が管理しやすい仕組みを作っていきたいと考えています。

宮崎: 未払いなど概算でいれるなどのルールはありますか?

永久保: 決算早期化に向けたこれまでの課題永久保:重要性によっては一部概算で集計するものもあります。

宮崎: 請求書の遅延などで5営業日以降は入れないなどのルールもありますか?

永久保: 理想は2~3営業日までに欲しいものの、各社の事情で遅くなることも理解しています。金額が確定しない取引では、納品や役務提供を受けたことを確認したうえで稟議や見積もりをもとに計上し、金額確定後に差額が生じていれば洗替を行っています。

宮崎: 旅費交通費などの経費精算はどうでしょうか?

永久保: 営業職というものがないので、それほど多くの交通費精算は出ません。経費精算は1営業日で承認まで終わるようにしています。

関係各所との連携

宮崎: 管理部は早くしたいのにほかの部署が協力してくれないということもあると思うのですが、決算に対して全社の協力体制はどうでしょうか?

永久保: 1フロア100名規模の会社でやっているので計数管理部との壁が低く、何かあっても気軽に質問に来てくれるという風通しが良い文化があり、全社の協力が得やすいということがあります。

宮崎: 監査法人さんとの関係は如何でしょうか。見解の相違等により決算が遅れるということはありましたか?

永久保: 多少の見解の相違が生じることはあります。しかし監査法人さんとは決算前に事前打ち合わせを実施するなど、会計処理や開示事項についての懸念点は事前に解消できるようにしています。

先を見据えた問題点の洗い出し・事前準備

宮崎: その他に気をつけていることはありますか?

永久保: その他は年次決算を見据えて月次決算や四半期決算の段階から問題点をすぐに洗い出して改善することで、決算月にはその最終調整だけで済むように心がけています。

宮崎: 問題を先送りしないということですが、決算・開示での影響を理解していなければできないことですね。他にもありますか?

永久保: 当たり前のことかもしれませんが、決算前に事前のスケジュール打ち合わせや開示資料周りの整備を実施しています。

宮崎: その当たり前が当たり前にできていることが秘訣かもしれませんね

決算早期化に向けたこれまでの課題

宮崎: 貴社は2015年3月に上場されていらっしゃいますが、昔から決算が早かったのですか?

永久保: 現状ほどではないですが、上場前から部門長の方針のもと、上場企業に負けない体制構築を進めており、ある程度早い締めができていました。

宮崎: 決算早期化に向けて越えなければならなかった壁はありましたか?

永久保: 私が入社当時のビジネスモデルはモバイルサービス(BtoC)だけではなくメディア向けの事業(BtoB)も行っていたため、それぞれの証票を揃えることやチェックに時間を要していました。また、BtoCの増加に合わせて、必要となる情報を出力する管理画面の構築を事業部と協力して進めました。
さらに、途中で親会社ができたことによる会計システムの移管もありそのシステムに慣れるために当初は苦労しました。今では会計システムの特徴を活かし情報を自動で出力するフォーマットを構築し、チェックを容易にするなど有効活用しています。

宮崎: ビジネスモデルが大きいということですね?

永久保: かなり大きいと思います。

今後の決算早期化・さらなる企業成長に向けて

宮崎: さらに決算早期化が可能とお考えですか?計数管理部として目指していることも含めて教えてください。例えば、決算開示の順位1番を目指していきますか?

永久保: さらに早期化することも可能と思っています。
ただ、それにはまだまだ解決すべき課題が多いです。特に決算発表前は残業時間も増え、メンバーに負荷がかかっています。仕組み化、効率化により生産性の向上を図り、無理のない体制を整えていきたいです。 一方で、単純に早期開示で1番を目指すことも良いですが、大きな差別化にはつながりにくいと考えています。これからはスピードだけでなく質を上げることにも注力したいと思います。

宮崎: 生産性の向上として具体的にはどういうことを考えていますか?

永久保: フォーマットの統一や事前準備、内部統制に注意が必要ですが概算数値の活用による効率化などを進めていきたいと考えています。

宮崎: 計数管理部として企業成長に貢献していくための目標はありますか?

永久保: 部門方針になりますが、計数管理部(経理)に求められる役割は財務諸表など法定書類の作成・開示だけではありません。
これらは重要な役割ではありますが、早期決算・早期開示ができれば管理会計や分析、各種改善を行うことができます。
早期決算は維持しつつ、より情報の質を上げ、経営の意思決定に資する情報の提供を行えるように取り組んでいきたいです。

宮崎: 現状で抱えている問題点はありますか?

永久保: 決算期間中は決算以外の業務が停滞しがちになりますが、その間にも会社は動いているので、そういったときにも対応できるようにしていきたいと考えています。生産性の向上という点でも手間がなるべくかからないようにしていきたいです。

宮崎: 今後の目標として経営に役立つ数値を出していきたいということですが、そのモチベーションはどこから生じるのでしょうか。よくあるケースでは前向きなものよりも日々のルーティン業務が増えることに拒否反応をすることも多いとおもいますが、経営に役立つ情報を出そうというモチベーションはどこから生じるのでしょうか。

永久保: 部門長の影響が大きいと思います。経理は保守的な考え方も必要だと思いますが、自分たちから必要な情報を取りに行くような動きを部門長から求められています。そういった主体的な動きにより計数管理部からも会社の業績に貢献することができると考えています。

宮崎: 改めて経営メンバーに質問です。今後の貴社成長戦略とそれを支える経営管理業務へ期待する役割について教えてください。

宮井: 事業目線としては、計数管理部も意識していることとして『攻めの経理』というのがあり、 数字の管理だけでなく事業に役に立つ数字をどう提供していくかを意識して業務を行ってくれています。 これを続けて、大きな意思決定に限らず現場レベルでの改善にも役立つような数値の提供を続けてほしいです。

深井: 会社の経営理念にある4つのバリューのうちにスピード×クオリティというものがあり、 どちらか一方だけに偏らず、早くかつ正しいという状況にできていて経営理念にも合致しているのでこれは引き続き維持してほしいです。 そのうえで計数管理部としてどう事業に役に立つかという視点を持ち続けてほしいです。

宮崎: 皆様、貴重なお話しをありがとうございました。

今回のインタビューで感じたこと

「まず、インタビューに対応していただいた取締役の宮井氏・深井氏の両名、計数管理部の永久保氏といずれもフランクな方で話やすく、 雰囲気がとても良い会社でした。
決算のスピードに関してはビジネスモデルの影響もあるとしていましたが、 一方で、上場前から上場企業に負けない体制構築という高い意識を持って全社的な協力体制を得やすい企業文化の醸成ができていることや、 月次の段階から問題把握をして早めの対処をすることや決算前にしっかりと準備をするなど先を見越した時間の使い方ができていることはビジネスモデルに関係なく参考にできると思いました。 今後の企業成長がとても楽しみです。」

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■会社概要
会社名 :株式会社モバイルファクトリー
http://www.mobilefactory.jp/
所在地 :東京都品川区東五反田1-24-2 東五反田1丁目ビル8階
代表者 :代表取締役 宮嶌 裕二
設立 :2001年10月1日
資本金 :4億7,276万円
事業内容 :モバイルサービス事業

※記事内容は、インタビュー実施時期に基いて作成しているため、会社名・役職等にその他一部の内容が現時点と異なる場合もあることをご了承下さい。

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